
日本のITエンジニアの平均年収(給料)はその他の仕事に比べて一回り高い数字が出ています。しかし、稼ぐためにエンジニアになってみたものの他の仕事と比べて大した格差の無い状況に不満を抱いている方も多いようです。
以前の記事 (※) では平均年収と実情について解説しましたが、そこに示した通り「平均給与はあくまで平均」なので、ITエンジニアだからといって流れのまま1,000万を超えるような高年収になる可能性はほぼ無いでしょう。
稼げるエンジニアになるためには、給料・年収をUPさせるためにはいくつかの条件をクリアすること、そして知っておかないといけない情報があります。
この記事では、年収1,000万を超えるような高年収ITエンジニアになるために何が必要なのかを解説いたします。
今回の記事はエンジニアとして想定される高年収を得るための情報、高年収には決して結びつかない間違った認識をしてしまっている人が多いので、そのことについてまとめました。
重要なポイントに絞ってお伝えしていきますので、自分の認識が異なっていないか確認してみてください。
※参考:エンジニアの平均年収と業種別・年代別年収データ徹底解析!高年収エンジニアの法則
Contents
そもそもITエンジニアとは
そもそもITエンジニアとは、どのような職種のことを言うのでしょうか。
一例となりますが、Web関係、インターネット関係、システム開発に関連したITの専門知識やスキルを備えた人材を「ITエンジニア」と言います。
主には、
- システムエンジニア
- プログラマー
- インフラエンジニア
- ネットワークエンジニアなど
その他にも
- Webアプリケーションエンジニア
- ゲームエンジニア
- 組み込み系エンジニア
などなど、非常に多岐に渡ります。
そのため、ITエンジニアと言う言葉を聞いても、すぐにプログラマーやSE(システムエンジニア)というふうに考えてしまわぬように気をつけて下さい。
そのため、ITエンジニアの平均年収(給料)などの情報にはご注意ください。ITエンジニアと一括にされてしまいがちですが、細分化された各職種によって、平均年収には差があります。
ITエンジニアの3分類【高年収エンジニアになるには?】
上記のようにITエンジニアの中にも様々な職種が細分化されているということはお伝えしましたが、エンジニアと一言にいっても客先常駐のSES、自社開発のエンジニア、受託開発企業のエンジニア、と大きく3パターンに分類でき、それぞれに年収にも差があります。
・SES
エンジニアの経験、スキルによって費用が変わり、基本的にはクライアント企業へ常駐し、上位企業からの指示の下でシステム開発業務を行うこと。
場合によっては二次受け、三次受けといったクライアント企業との間に複数の企業が関与することがある。
誰でも知っているような大企業へ常駐するような場合もあり、大手の開発環境や手法を学べるチャンスがあることも。ただし、年収は格差が激しく、基本的にはスキル、経験によって上がる前提だが、前述のように複数社関係してたりすると給与が上がりづらい上に、自己努力では同しようもない場合もある。
ポイントは経験を積み、秀でたスキルを見出すことができるかどうかで年収が大きくかわる。実績を正当に評価されるよう、二次請け、三次請けの企業への転職は割け、クライアントと直接契約しているような企業を選ぶ事が重要です。
個人ベースでのスキルや経歴を評価されたい人にはおすすめの働き方になります。
・自社開発
自社でサービスやアプリケーションの開発をしている企業のことを指す。1つのプロジェクトに長く携わることが多く、企画の段階からアプリケーション開発、公開までではなく、運用フェーズや、機能改善などの業務まで対応することも多く、アプリケーションや製品のサイクル全体を経験することも可能である。
ただし、その場合は幅広い知識、経験を求められる上に、企業の業績にも関連して給与が上がる場合が多い。また、システムを構築した完了という流れではないことが多く、その後の運用フェーズ、改善フェーズにも関わる場合が多い。
また、1つのプロジェクトに長く携わることについては自己適正を確認したほうがいい。
いろいろなプロジェクトに参画したり、運用フェーズまでは対応したくないという人には向いていない。
事業に興味がある、作って終わりという流れではなく、業績にどう影響があるのかまで見たいという人には向いている。ただし、個人の能力が評価されずらく、事業全体の成果によって判断されることが多く、年収アップの流れはコントロールしにくい。
・受託開発
クライアントからの依頼により、要件・要望に沿ったシステムを構築する業種を指す。
ある程度の規模のクライアントであれば、RFP(提案依頼書)が用意されている場合もあり、要望によって設計をしていく。基本的には開発経験を持つような自社の強みとしている業種からの依頼が来ることが多い。
規模によるが、設計から開発、テストまでを通して対応することができるので、オールラウンダーとしてスキルを身につけられる。
ただし、基本的には受注する際に開発に必要な予算は決まるため、納期に遅れたりすると、自社の利益を圧迫することになる。そのため、優秀なSEやPMが在籍していないと、激務になるケースも多く存在する。
・年収アップへの道筋が描ける企業へ転職がベスト
別記事で取り上げた内容ですが、年収(給料)に関連する要素はエンジニア個人の技術力だけでなく、就業している企業の性質、企業規模も関連しています。
上記の3パターンで最も年収が高い傾向にあるといえるのは、「受注開発企業のエンジニア」です。
もし、下記のように考えているのであれば注意が必要です。
・年齢が上がれば自然と(ステップアップして)昇給できる
・年数がたてば自然と上流工程を任してもらえる
・10年もすればPMとかにもなれるはず
こうした認識はすべて間違いです。
これについては後程詳しく解説します。
誤解しないでいただきたいのは、年収が低い(安い)とはいえスキルアップ・経験を積むためと考えると、様々な業種の案件を経験できる可能性があるSESはすべてが悪ではありません。現場に常駐することでしか知ることができないこと、経験できないものも多いため、今後の活躍の幅を広げ将来的に年収UPにつなげる足掛かりになります。
しかも、基本的な契約は準委任契約ですので、貴方のスキルにあった仕事、タスクを設定してくれて、それを貴方の能力でできる範囲で対応すればいいのです。(もちろん、技術的な向上、多少の期待値を込めてタスクを振られる可能性もあります。)
課題となるのはSESを続けていった場合で、機械的に目先の業務のことのみに集中してしまったり、修業期間でもあるSESに長く留まることは経験年数を重ねるごとに年収UPの機会を失っていくことになります。
また、そのような状況ですと、SESの常駐先からも契約を終了されてしまうことも多いので、自己研鑽して常に期待を得られるように努力することは必要です。
「経験5年目、7年目、10年目にはどのくらいのことができるエンジニアに成長したいか」
目標を明確にして現場での経験を積みましょう。
年収アップのために資格取得は有効?
年収UPのために資格を取ろう! という行動は有効ではあります。
どのような手当てがつくかは企業ごとに異なりますので、取得前に就業規則や上司に質問などで確認しておくと良いでしょう。ただ、大半のケースで大きな年収アップとはいかない場合が多く、祝金や一時金の支給だけで終わる場合もあることも認識しておきましょう。
とはいえ「高度なスキルを保有していること」を証明することにもなるため、難易度の高いものや専門性の強い資格を保有することは転職する際に有利に働きます。一部の案件では資格保有者が必要なケースもあり、今後の業務を考えると取得して損になることはありません。
年齢が上がれば業務も忙しくなりがちなことも考えると、資格は早め早めに取得しておくことで自分の役にたつということも覚えておくとよいでしょう。
また、既にITエンジニアとして業務に携わっているという方は、安易な資格取得よりは、これからのキャリアチェンジも想定しているようであれば、異なる職種に関する資格を目指したり、現在の業務では携われないような業務に関する資格を取得したりと、狙う刺客を選んだほうがいいでしょう。
もし、今の業務を続けたいと考えているのであれば、資格取得よりも現在の業務に関する技術力向上に集中したほうがいい場合もあります。
年収アップのためにフリーランスになるのは早計
フリーランスになると収入が確実に上がると思っている方に知っていただきたいリスク・デメリットについてまとめました。
・高年収フリーランスエンジニアは極端なレベルで技術力が高く、簡単に到達できるものではない
・健康保険や年金の会社負担分が無くなり、年収アップに応じた所得税など支出も増える(年収に応じて翌年度の社会保険料や住民税も変わります)
・常に仕事があるとは限らないので無収入期間のリスクがある
・常に仕事がある状態でいるためには技術力も営業努力も欠かせない
簡単に上げられるものでもこれだけのリスクと年収に影響する要素があるため、フリーランスのエンジニアになっても年収が上がらないことは十分に考えられます。
個人事業主として働くのは正社員として働くのとは違う部分も大きく、実際にフリーランスに転向してから「やはり社員のほうが良い」と戻る方も多くいらっしゃいます。
フリーランスとして活躍するためには技術力はもちろん、コミュニケーション力なども必要となるので、フリ−ランスになりたい理由が年収アップということでしたら、とりあえずやってみるということではなく、適正を確認してから調整してみるほうがいいでしょう。
技術を磨いて年収アップするのは二十代半ばまで
中堅となるまでの二十代半ばから後半までの年代であれば、たしかに技術力をあげることか年収アップにつながります。それ以降の年代でもそうかというとそうではないのがこの業界の実情で、技術だけでエンジニアとして年収をあげるには限界があります。
技術を磨くことで年収1000万円の大台を超えるには、スーパーエンジニアとして国内外でも希少な存在となるレベルが必要です。
また、後で詳しく解説しますが企業が評価しているのは技術力だけではない、ということも技術だけで稼ぐのは難しいということの裏付けとなっています。
本当に稼いでいるエンジニアの職種とスキル実態
経済産業省が2017年にまとめたIT関連産業の給与等に関する実態調査結果の資料に興味深いデータが掲載されています。

「職種別の年収平均とスキル標準レベル」をみてみると、一般的な認識として稼げるトップクラスのエンジニアのイメージに合致する高度SEよりも稼いでいる職種は、コンサルタント・PMの管理系となっていて平均年収でも100万円以上になります。一般的なITエンジニアとは大きな差が出ています。
また、同資料では企業の評価として「年功は評価への影響は小さい」と回答するところが半数以上となっていることから、長く勤めれば高年収になるというものではない事も認識しておく必要があることがわかります。

個人のスキルを高めることで年収はどう推移しているのかは、同資料の「スキル標準レベル別の年収の平均」から読み解けるのでみてみましょう。
これによると大きく年収に差が出るポイントとしては、レベル3「独立して仕事ができる中堅レベル」とレベル4「部下を指導できるチームリーダーレベル」、そこから先にレベルアップするにつれ大きく年収がアップしていることかわかります。
年収を上げるためには企業の評価基準を知るべし
確実に年収を上げるためには、見出しの通り企業が従業員の評価で重視しているポイントを知ることが欠かせません。
上でも参考にした経済産業省の資料に「給与水準に影響を与える 項目と影響度」(企業向け調査結果)という項目があるのでチェックしてみましょう。

この資料からは、
・ITスキルレベル
・コミュニケーション(マネジメント)能力
・成果
の3つが給与を決める際に影響度が 「非常に大きい」「大きい」とした回答が90%とかなり大きな比率を占めている。
評価されるポイントを知らずして年収アップすることは難しい、その上で磨くべきスキルは何か、何をすべきかを検討していきましょう。 エンジニアは技術力が全て、ではなくマネジメントスキルも得てこそ、真に稼げるエンジニアになれるということを忘れないで下さい。
年収UPに必要なこと
ここまでエンジニアとして高年収を得るために知っておきたい情報をお伝えしてきました。結論として年収を上げるためにはまず、「企業が評価するのはスキルだけでなく、マネジメント力・コミュニケーション能力・成果」であるということを忘れないでください。
中堅とされる27~30歳前後の時期にこの能力が発揮できていれば、その後のビジョンは確実に開けます。エンジニアというと「職人だから腕が命」という認識は間違いである、ということに早めに気付き、本当に評価される能力を身に着ける方向にシフトしているかいないかで将来性は大きく変わります。
そしてもう一つ。
自分の適性収入はどのくらいなのかを知っておくことです。
そのためには転職活動を行ってみて企業に評価してもらい、転職エージェントを活用することで「自分がどのくらいの市場価値があるか」を知ることができます。その評価と今の待遇を見比べてみれば、自分の待遇が安いのか、高いのか、妥当か判断できるでしょう。
適性収入を知っていれば人事考課などの際の面談でも適正な範囲で前向きに交渉しやすくなりますし、転職したほうが良い環境で働けるのかを知ることもできます。高年収を目指すのであれば、積極的に自身の評価を受けて今後のキャリアパスを考えていきたいですね。
まとめ
これまでの記事で、ITエンジニアがどのようにして年収アップを目指すのかを解説してきました。
ここで考えていただきたいのは年収アップをすることがベストな選択なのかということです。
年収は大幅に上がったが、余暇の時間が取れないほど忙しく、プログラミングをしたいがチームビルディングばかりしていて、技術を磨くことができないといったようなことにならないように注意してください。
現状のスキル・経験から、今は何を優先するべきなのかを考えてみてください。
急がば回れという言葉がある通り、今の自分に足りないのは、なんなのかを検討して見た上で給与以外を優先するという結論であれば年収アップよりも、そちらを優先してください。

いまの仕事では給与も上がりづらく、将来にも不安があると悩んでいるなら、思い切ってITエンジニアへの転職という選択肢もあります。
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