プログラミングスクールが増え、オンライン学習動画サロンなども乱立する今、「1年でフリーランスエンジニアになって、年収も大幅アップ!」というような魅惑的なキャッチコピーに目を奪われてしまうことも増えたのではないでしょうか。
未経験から1年でフリーランスエンジニアになることは可能かと問われればなることはできますが、稼げるかは別問題です。
楽して働き方も自由で手に職もついて稼げる、と安易に考えてフリーランスを目指して勉強を始めると後悔することになるでしょう。
自分自身の適正と、具体的な計画をたてられるだけの情報収集を行い、きちんと判断してフリーランスを目指すべきです。
この記事では、フリーランスエンジニアの実情と、必要なスキル、どのような流れでフリーランスになれるかなどを解説してまいります。
正直なところフリーランスエンジニアは全ての方にオススメできる働き方ではありません。
目指されている方には刺激が強い記事になっていますが、ここでお伝えすることは全て事実ですので1つの見解として受け止めていただければ幸いです。
Contents
そもそもフリーランスエンジニアとは
フリーランスエンジニアとして働く場合、正社員との大きな違いとなるのは『案件に参画している時だけ収入が得られる』ということと、『(基本的に)自分で案件を探し自分を売り込み、条件面など交渉していく必要がある』ということでしょう。
もちろん仕事を自分で選ぶこともできます。
ですが選び過ぎて案件に参画できないこともあり得ますし、そもそも選べるほど案件がないタイミングにあたってしまえば収入が得られない期間が長引きます。
またフリーランスとなればもし自分で何かトラブルを招いてしまったりした場合の責任も自分に降りかかることも忘れてはおけません。
フリーランスエンジニアの契約形態と働き方
フリーランスとして働く場合どのように案件獲得、もとい契約を結ぶかも複数のケースがあります。
案件を請け負っている企業からのオファーを受けて請負契約を結ぶ(案件単位の契約)のか、 特定の企業(SESなど)とフリーランスとして契約を結びマッチする案件があるときのみ仕事を受けることもあります。
クラウドソーシングで探す場合、フルタイムでの案件獲得よりも副業レベルのボリュームの案件が多いこともポイントです。
またフリーランス専門のエージェントに登録し、案件を紹介してもらうケースもあり、案件をスムーズに獲得する為にもエージェントを利用する場合には複数登録しておくエンジニアも多いことも覚えておいてください。
またエンジニアですから客先に常駐して仕事をする場合もあればテレワークとなるケースもあります。
特に注意すべきはテレワークとなったとき、フリーランスは基本的に1人で案件に参画している為、わからないことや困った時に質問できる環境ではないことが多くなりますから、経験の浅いエンジニアや未経験の分野での案件参画時には注意しておかなければなりません。
フリーランスエンジニアの平均年収と最低年収
フリーランスエンジニアの平均年収について、midworksを参考にすると700〜1000万円というデータがあります。
ただしエンジニアとして正社員、フリーランスで働いた筆者の経験からすると安定して案件獲得できる方ばかりではありません。
別のデータで実際にはたらく現役エンジニア100人にアンケートを実施した結果をみると、最低年収420万円ほどというデータもあることも知っておくべきです。(参考: フリーランスエンジニア100人に聞いた年収調査)
これも一部のエンジニアに限ったことで、筆者の周りでも案件獲得がうまく続かず生活に困る、ということから正社員として転職したという例も実際にある話としてお伝えさせてください。
あくまでフリーランスエンジニアが稼げる、というのは技術力もコミュニケーション能力も人脈もあって案件獲得がスムーズにいくケースに限られた話ということも覚えておくべきでしょう。
IT業界にフリーランスが増加中
案件獲得方法(クラウドソーシングや案件マッチング、フリーランスエージェントなどの利用)が増えたこと、また新型コロナの影響も大きく働き方の変容でリモートでの就業も増加していることもあり、フリーランスとして活躍しようという考え方のエンジニアが増えているのが現状です。
また終身雇用の終焉も大きく影響していると考えられます。
となれば当然の流れとして、フリーランスエンジニアとして案件を獲得するのは厳しくなり、また市場には優秀な人材も多くなるためハードルも、求められるものも高くなることは言うまでもないでしょう。
フリーランスになるメリットとデメリットについて
フリーランスエンジニアとして働くメリットから見てみましょう。
・仕事を選べる
・副業が自由にできるため収入も増やしやすい
・(同程度スキルの正社員と比べて)収入が高くなる
・希望するキャリアパスが描きやすい
・人間関係のストレスが減る
といったことがメリットとして挙げられます。
続いてフリーランスエンジニアとしてはたらくことのデメリットについても見てみましょう。
・仕事がないと収入が得られない
・自分で案件を探さなくてはならない
・折衝能力が低いと好条件の案件を獲得しづらい
・(正社員と比べて)周りに教えを乞い辛い
・(所属企業がない場合)社会的信用が低くなりローンなど組めない場合もある
・税金や健康保険など自分で手続き/支払いをしなくてはならない
このようなデメリットがあります。
自由といえば聞こえは良いですが、甘い世界では決してなく、厳しさ故の自由、そして努力の末の高収入であるということは認識しておくべきでしょう。
フリーランスエンジニアに求められるスキルと未経験からの転職は避けるべき理由
フリーランスエンジニアとして活躍し、長く求められる人材でいるためには以下のポイントが欠かせないポイントとなります。
- 常に業界での需要の高い技術を取得しておく
- (契約主との交渉がスムーズにいくよう)コミュニケーションスキルを身につける
- 上流工程を請けられるレベルで業務スキルを積む
このようにエンジニアとしての技術力、そひて経験に基づいた高いコミュニケーション能力が求められるので未経験では難しいということになります。
また安易に稼げるからとフリーランスとなったときに戸惑うことが多いのは以下のポイントです。
- 即戦力が求められる
- 実務経験やスキルで単価が決まる
- 未経験だと仕事を受けられないことも多い
- 質問できる相手がいない
上記のことから『安易な考えでフリーランスエンジニアを目指すのはやめとけ』という結論になるのです。
きちんとした経験、対人スキルがあればそれなり以上に稼げますが、そのレベルになければそもそも案件獲得までつながらない、もしくは低単価の案件しか獲得できないのです。
そのため、失望したり生活が成り立たないことから正社員として再転職する方も多いのも実情と知っておくべきでしょう。
フリーランスを目指す未経験者が最低限しておくべきことと気をつけるべきポイント
まずフリーランスとしてやっていくためにしておくべきことから見てください。
・プログラミング技術の習得
・案件に参画し一年以上の実務経験をつむ
・他のエンジニア、フリーランスの先輩や経営者との人脈形成
エンジニアとしてのスキルを磨くことはもちろんですが、机上での知識だけでなく実際の現場で実務経験を積むこと、これは一番大きなポイントです。
それとあわせて、フリーランスとして独立することを考えるならさまざまな情報収集や技術力アップのためにも、独立をみすえた人脈形成も欠かせません。
また以下のポイントはフリーランスとして独立するために避けておくことをおすすめするものになりますのでチェックしてみましょう。
・二次請け、三次請けといった受託開発をしているSES企業に転職すること
・大規模プロジェクトのごく一部の機能の実装をしているような案件が多い企業に転職すること
・副業で仕事を請けること
フリーランスとしてやっていくことを見据える場合、あまり汎用的でない限定的な経験や知識がメインにならないようなキャリアパスを考えた行動をしたいもの。
また副業として、となると規模も小さく求められるものも限られるため、実務経験としては不足してしまうことも覚えておいて下さい。
まとめ
フリーランスになると、1千万円を超える年収も目指せることは平均年収データのところでお伝えした通りです。
ですがフリーランスエンジニアとして生計をたてることに挫折し、社員として企業に勤めなおしたりする人もかなりの割合をしめています。
フリーランスになれば働き方は自由で案件も自由に選べると考えていたのに、現実は社員として働いていたときよりも不自由なことが多いと気付かされた方も少なくないのです。
それでも、フリーランスとしてやっていくんだ‼︎ いう強い意志と、努力を継続していけるバイタリティがあれば、フリーランスエンジニアとして活躍することも可能でしょう。
逆に今、社員として働いているエンジニアの方の中には、本記事をご覧いただき不自由もある反面、守られている部分も多いんだということにお気づきになられた方もいるのではないでしょうか。
大切なのは、ご自身がエンジニアの仕事に適しているのかを判断した上で、将来の働き方に対してのビジョンを明確に持ち、エンジニア職が好きなのかということ。
もしご自分だけでは考えがまとまらない場合は、IT業界専門の転職エージェントに相談してみるのも良いでしょう。
今の貴方のスキルから、将来なりたいエンジニアの姿まで実際のIT業界の実情と照らし合わせた上でのアドバイスを受けることができるはずです。