
「ベンチャー企業」というワードは聞き覚えもあるし知っているような感覚でいたのに、正確に説明しなければいけないとなると、できない人も多いのではないでしょうか?
最近耳にする機会も多くなった「スタートアップ企業」とは何が違うのか、似ているけれどベンチャーキャピタルもまた別物なのか。といった疑問にも答えられるかと言われたら難しい…という方もいらっしゃるかもしれません。
また誰もが知る言葉ということもあり今更「ベンチャー企業とは?」と聞けないという方もいらっしゃるかも知れません。
この記事では、ベンチャー企業とは何か、どのような定義なのか、他の似たものとはどう違うのか簡単に分かりやすく解説してまいります。
もし、現在ベンチャー企業も含めて転職するか検討していらっしゃるのなら、この記事でベンチャー企業についての理解を深めていただき、最適な転職先を探す際の参考としていただければ幸いです。
ベンチャー企業への転職はメリットもたくさんありますが、リスクもあります。
転職の際に「ベンチャー企業」という言葉のイメージだけに惑わされて安易に転職してしまう事がないように、企業分析してから選定するよう留意して下さい。
現在の社会情勢を鑑みると、安定感のある大手企業に目が行きがちですが、ベンチャー企業のメリット・デメリットも把握した上で、最適な転職ができるように転職活動を進めていただければ幸いです。
Contents
ベンチャー企業とは?
ベンチャー企業の語源は「Venture(冒険)」というワードで、明確な定義がされているものではありませんが、一般的には比較的設立から日が浅い、革新的な事業・ビジネスモデルにチャレンジしている企業を指す事が多くあります。
設立からどのくらい日が浅いことが条件となるかは、明確な数字が決まっている訳ではありませんが、設立5年前後が目安です。
中にはメガベンチャーと呼ばれる、大企業に匹敵するまでに成長を遂げたベンチャー起業もありますが、どちらかと言えば若い企業であることもあり、中小企業に近い事業規模の場合が多いでしょう。
またベンチャー企業に限らず、設立から間もない企業には若い人材が多く集まりやすく、社長は20~30代、そして近い世代の人材が働いていることが多い傾向が強く見られます。

ベンチャー企業とスタートアップ企業との違い
ベンチャー企業もスタートアップ企業も、どちらも設立から日が浅いことは共通していますが、スタートアップ企業は、新しいサービスや事業を展開し、短い期間で目覚ましい成長を遂げた企業を指します。
ベンチャー企業は中長期的な目的のもと、独自のビジネスモデルで運営される事が主ですが、スタートアップ企業は短期間でのハイリターンを目指すことが多いという違いもあります。
ITベンチャー企業とは
ITベンチャー企業とは、ベンチャー企業の中でもIT関連事業を展開する企業を指す言葉です。
資金力がなくてもアイディアで勝負に出られるのがIT業界、という背景もありベンチャー企業といわれる企業の数も多いのもIT業界ならではでしょう。
ITベンチャー企業の事業内容としてはWebサービス・ITサービス・ソフトウェア開発などのIT関連事業が含まれます。
その他ベンチャー企業と似て非なるワード
ベンチャー企業と似ている単語でも全く異なるものを指す言葉も多くあります。
混乱しがちな言葉について取り上げ解説して参りますので、お目通し下さい。
社内ベンチャー
社内ベンチャーとは何かというと、企業内に新規事業を手がけるためにら新規設立した部署などを指すものです。
このような部署を抱えているからとはいえ、既にある程度企業としての実績・ノウハウ・人材を活用して運用されるものですから、ベンチャー企業とは異なります。
ジョイントベンチャー
ジョイントベンチャー(合弁企業)とは、複数の企業が互いに出資しあい、新会社を設立して運営することを指すため、ベンチャー企業とは異なります。
ベンチャーキャピタル
ベンチャーキャピタルとは、ベンチャー企業などを含め「高い将来性が見込める」と判断した未上場企業に、経営コンサルティングなども行いながら積極的な投資を行い、ハイリターンをねらう投資会社を指します。

代表的なベンチャー企業10社
2022年時点で、注目されているベンチャー企業についてご紹介致します。
①Peatix株式会社
Peatix株式会社はグループ管理・イベント管理・チケット販売・集客などを簡単に行えるモバイルアプリ「Peatix」を提供するITベンチャー企業です。
②株式会社タイミー
株式会社タイミーは2019年までに、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルから計23億円もの資金調達を実現した勢いのある、ITベンチャー企業で、直感的な操作で利用できるワークシェアリングサービスを展開している企業です。
2019年には総額30億円の資金調達を実現するほど、注目されているITベンチャー企業として成長を遂げています。
③株式会社ヤプリ
既にコマーシャルなどでご存知の方も多いでしょう。
株式会社ヤプリは、企業の課題解決をモバイルテクノロジーで行える、クラウド型のアプリ開発プラットフォームを提供している企業です。
④株式会社SmartHR
2013年設立ですから、5年以上経っているものの、クラウド人事労務ソフト『SmartHR』を提供し累計80億円以上という巨額の資金調達も実現した同社は、今後も事業拡大が期待される注目のベンチャー企業としてご紹介させていただきます。
⑤ピクシーダストテクノロジーズ株式会社
2019年には累計48億円という資金調達を実現した注目のベンチャー企業である同社は、少子高齢化を背景とする労働人口の減少といった課題や、障がい者の暮らしをより豊かにするといった社会課題解決を目指している、今後も注目するべきベンチャー企業の一つとして取り上げさせていただきます。
⑥Chordia Therapeutics株式会社
2人に1人はなる可能性があるとされるがん領域に特化した研究開発型バイオベンチャー企業の同社。
これまでにも総額30億円の資金調達を実現した実績もあります。
⑦株式会社モダリス
同社はゲノム編集技術『CRISPR-Cas9』を用いた治療薬開発を行うベンチャー企業です。
独自の技術である「切らないCRISPR」は深刻な遺伝子疾患に苦しむ患者を救うための治療薬開発を目指すものです。
⑧株式会社インフォステラ
衛星通信インフラ製造業を営む同社は、地上局ネットワークのStellarStation開発を通して、ISIS)社やTeledyne Paradise Datacom社ともパートナーシップを結ぶなど、今後も大きな期待が寄せられるベンチャー企業です。
⑨Marketing-Robotics株式会社
AI搭載の『マーケロボ』でマーケティングサービスを行うベンチャー企業である同社は、AIを用いて膨大な営業ビッグデータの解析を可能にし、見込客を導き出す新機能を開発強化するなど、時代のニーズにそくした業務拡大をする注目のベンチャー企業といえます。
⑩株式会社W-ENDLESS
「WEBを通じて無限の可能性を生み出し続ける」をモットーに運営されるITベンチャー企業である同社。
その著しい成長速度から、ベンチャー企業としても注目を集めているITベンチャー企業となっています。
ベンチャー企業で働くメリット.デメリット
ベンチャー企業で働くことのメリット、デメリットについても見ていきましょう。
メリット
ベンチャー企業で働くことで得られるメリットから見ていきましょう。
早い段階から躍進するチャンスがある
ベンチャー企業は少数精鋭であることが多く、
1人1人に求められる働き・責任は大きいことも特徴です。
プレッシャーも感じる一方、早い段階から管理職・役員として活躍できるチャンスもあるのです。
様々な業務経験ができる
一般的な企業では、担当部署以外の業務に携わるということは基本的にはないでしょう。
ですが少数精鋭だからこそベンチャー企業では、営業・広報・事務営・マーケティングなどと幅広い業務を経験できる場合も多くあります。
そのため短期間で他業務にわたり大幅なスキルアップも可能なのです。
社長や経営陣との距離が近い
従業員の数が少ないことが多いベンチャー企業では、トップである社長や役員メンバーと顔を合わせる機会や、一緒に業務にあたるシーンもあります。
上を目指す方にはまたとないチャンスでもありますが、質問や教えをこうこともできる環境は自身の成長に間違いなくプラスになるのではないでしょうか。
デメリット
続いてデメリットについても確認しておきましょう。
安定性に不安が残る
ベンチャー企業は「新しいビジネスモデルに挑戦している」という事もあり、安定性に欠けるというリスクがあるのも確かです。
ですからベンチャー企業への転職を考える際に後述するポイントを踏まえて企業分析を行い、転職活動することが重要なのです。
個性的な職場環境の場合も多い
新しいことを追い求めるベンチャー企業だからこそ、社長・役員や社員に個性豊かなメンバーが多いということもしばしば。
その為オフィスの雰囲気が独特なものであることもあります。
こういった環境に慣れられない場合にストレスを感じてしまう可能性もありますから、ご自身にあった職場環境かどうか、ということもしっかりとチェックしておくと良いでしょう。
給与水準が低いこともある
なんとなくベンチャー企業=高収入と考えていらっしゃる方もいるかも知れません。
中にはボーナス・残業代・住宅手当などの各種手当が整っていないこともあり、収入が低くなってしまっているケースもあると言うことも把握しておいて下さい。
基本給・残業代・各種手当やインセンティブ、については事前にきちんと確認しておくようにして下さい。

ベンチャーに向いている人材とは
ベンチャー企業での就業に向いているタイプについてもまとめました。ご自身は向いているかの検討にご参考下さい。
収入よりも成長したい
高い収入を得ることや充実した福利厚生ではなく、自分自身の成長・スキルアップを目的としている方にはベンチャー企業への転職・就職は適していると言えます。
もちろん中には高収入にもなるケースもありますが、一人で様々な業務経験をつめる環境はベンチャー企業ならではでしょう。
自分の考えで動いて成果を出したい
人材が限られ一人一人に求められるものが大きいベンチャー企業では、事業のために必要なもの、社会が求めているものは何か自分から考えアクションを起こせる行動力も必要。
言われるがまま仕事をするのではなく、能動的に行動する事ができる人にこそベンチャー企業は向いています。
自分のアイディアで勝負してみたい
ベンチャー企業だから何でもできるという訳ではありませんが、自分のアイディアで勝負したい、どこまでできるのかチャレンジしてみたいと考えているならベンチャー企業は向いているとも言えます。
ただし、自分のやりたいと思っていること、アイディアが活かせる環境にある企業を探すことができてこそ、ということも留意して下さい。
ベンチャー企業に転職する際に気をつけるべき・チェックポイント
ベンチャー企業について理解した上で、ご自分にあったベンチャー企業かを見極めるだけでなく、安心して就職できる企業かも確認するためのチェックポイントをまとめましたのでお目通し下さい。
これからの転職活動には企業分析はとても重要ですので、入社してから「思っていたのと違う。」というミスマッチがおこならないように注意してください。
ベンチャーキャピタルから融資を受けた実績があるか
ベンチャーキャピタルはどんな会社にでも融資する訳ではありません。
あくまでその企業が「今後社会に必要とされるビジネスモデルを携え、成長が期待できるか」を判断し投資します。
ですからベンチャーキャピタルからの融資を受けた、という実績はプロ目線でみても今後成長していく余地があるということを示している、とプラスに解釈できるのです。
過去数年の伸び率はどうか
企業としての安定感をはかる要素として、過去数年の業績の「伸び率」をチェックすることも欠かせません。
伸び率が優秀であれば、ビジネスモデルが社会に必要と認められていること、また将来的な成長が期待できる優良企業であると考えても良いでしょう。
社長の人物像を確認
ベンチャー企業は社長や役員メンバーとの距離が近いのも特徴であることは既にお伝えしました。
そうしたら環境ですから、一緒に働く上で信頼に足る人物か、自分のやりたい事がこの人の元でできるか、目指しているところは何なのかなど社長や役員メンバーの人物像を確認しておくと、就業してから「ここは自分のいるべき場所ではない」という事にはならずにすみます。
もし採用面接に社長が出てくるような事があれば、「この会社の社長は特に情熱をもって事業を展開している」と考えても良いでしょう。
そのようなケースではよりトップとの距離感が近い環境であることも推測できますから、どのような意図でビジネスモデルを展開しているのか、将来企業としてどのような成長を目指しているのかしっかり確認しておくと良いでしょう。
まとめ
企業として成長過程でもあるベンチャー企業は、経営基盤が成熟していないことから安定していない側面もあります。
しかし、ベンチャー企業は新しいアイデアや技術で挑戦している勢いのある企業で、魅力も多く感じた方も多いのではないでしょうか。
規模も大小様々、ビジョンや事業も違っている、しかし、ベンチャー企業に共通しているのは社会に変革をもたらし大きな価値を生み出そうとチャレンジしている、という点です。
現在ではDXというキーワードでビジネスシーンは変革していこうとしています。2025年の崖といわれている予想通りにならないためにもベンチャー企業のようなイノベーションを起こそうとしている企業が多くでてくることは非常に楽しみでもあります。
社会に変革をもたらしたい、貢献したいというマインドを持っていたり、成長過程の企業の将来を間近で感じたいと思っている人はチャンスだと感じるかもしれません。
今後、日本全体がDXという変革を目指し進んでいくことでしょう。
その中で多くのベンチャー企業が出てくることも予想されますが、そういったスタートアップの時期から参画して企業が大きく成長していく過程を目の当たりにするということは大きな達成感をえられるでしょう。
今後も深刻なIT人材不足が解消されていくためには、今まで経験を積んできたITエンジニアだけでは補えないのです。経産省のレポートでも2030年には最大79万人のIT人材が不足すると予想されています。
コロナ禍の影響により業績が低迷してしまった業界もあるようですが、IT業界とジョインしたり、IT活用することでITエンジニアの需要は更に増加し、業績を上向きにする起爆剤にもなるのではないでしょうか。
IT業界未経験であったとしても、これまでの異業種での経験を活かし、IT業界へコンバートするという人が今後は急激に増加していくことでしょう。
IT業界も以前にようなブラック企業と呼ばれるような働き方をしている企業は絶滅してきつつあり、ホワイト企業として働きやすく、働き方もフルリモートワークやハイブリッドワークなどにも対応し、ITエンジニアが働く環境を改善している企業もとても多くなりました。
IT業界の将来は需要が減ることなく、今後も増えてい聞きます。
ご自身の適性を見極め、最適な企業へ転職できることを願っています。