IT業界とITエンジニアの働き方改革とは?

働き方改革が推進され、多くの業界で働き方改革に着手しています。

働き方改革の中で大きく問題になっているのが、IT業界の長時間労働問題です。本稿では、IT業界やシステムエンジニアの長時間労働などの現状と、それに対して現在進んでいる働き方改革をご紹介します。

IT業界の長時間労働の現状

以前よりは改善してきたと言われていますが、まだまだ残業時間が多いといったことや休めないといった悩みがあるエンジニアの方も多いかと思います。クライアントからの際限ない要求、プロジェクト開始前に仕様が明確ではないなど様々な問題が積み重なり、長時間労働を強いられているかと思います。

実際、総務省の労働時間調査によると、長時間労働者となる週60時間以上の雇用者は日本全体では5.8%のところIT業界では6.8%と平均より高くなっています。また、年間の総実働時間の平均も日本1706時間のところIT業界は1873時間となっています。なぜIT業界では長時間労働が多いのか、その代表的な原因をご紹介します。

−個人スキル依存のプロジェクト

システム開発などの作業は、プロジェクトチームとして稼働します。また、作業はシステム設計、プログラム作成、テストなど様々なフェーズに分かれ、それぞれが別のチーム・メンバーで作業することが多く、個々のスキルやノウハウに依存する特性があります。その結果、進捗管理が難しかったり、情報共有などに余計な時間を費やしてしまったりなど長時間労働につながってしまう場合が多くあります。

また、個々のスキルに依存してしまった結果、チーム内に技術力の低いスタッフがいた場合そのフォローに時間がかかるといったケースもあります。

−仕様の不透明さや頻繁な変更

システム開発のプロジェクトなどでは、クライアントから受注した際にはシステムの仕様が決まっていない結果、スケジュールや必要な労力など目論見が甘いということがあります。また、受注業務が中心のため、開発を進めていく中でクライアントからの仕様変更のリクエストを頻繁に受けたもののスケジュール変更は受けられず、その対応に振り回されるといったケースもあります。このようにプロジェクト管理が困難なことも長時間労働につながっています。

−労務管理者からの管理が難しい

システムエンジニアの方には自社オフィスではなく、クライアント先に常駐して作業を行うケースも多いかと思います。労務管理者の目が及ぶ範囲にいない結果、労働状況が管理できなかったり、担当者が問題を抱え込んでしまったりしてしまい長時間労働につながっています。

−多重下請けという業界の構造

IT業界が2次受けから3次受け、4次受けへと開発プロセスの一部または全部をアウトソーシングするという多重下請けの構造自体も大きな問題の原因になっています。このような構造の結果、下請けになればなるほど費用に対して対応しなければならない仕事が増えてしまったり、緊急時に対応しなければならなかったりということが起きます。このような業界構造は一企業の対策だけでは変えることが難しいのがIT業界における働き改革が進まない理由でもあります。

IT業界の働き方改革による変化

このようにIT業界では長時間労働が大きな問題となってしますが、2019年4月に働き方改革関連法案が施行されたことにより状況が変わりました。働き方改革基本法案では36協定の特別条項に上限を設けたり、努力義務として前の勤務から次の勤務までのインターバル制度の導入を呼びかけたりしています。また大きな影響として、これらに違反をした企業には罰則を設けています。2020年4月からは中小企業もその対象となり、IT業界の多くの企業が働き方改革を推進しはじめています。

例えば、労働時間の管理する期間を短くすることにより、長期間では浮き彫りに成りにくい長時間労働の把握につとめている例があります。また、スタッフのスキル差がプロジェクトに大きな影響を与えることを加味し、スキル差を埋めるために勉強会の実施や資格取得のためのサポートをするなどを行っているケースなどもあります。その他にも、年次休暇取得の促進活動やワークライフバランスを実現するためにテレワーク、副業、フリーランスなど多様な働き方実現を目指しています。

IT業界の働き方改革の今後

働き方改革の中で大きく注目されているのが、同一労働同一賃金です。2020年4月から大企業に適用され、2021年4月から中小企業に対して施行されます。これは、正規社員と非正規社員、派遣社員による待遇格差や資金格差をなくそうという考え方です。今までもガイドライン上のようなものは存在しましたが、今回働き方改革推進に伴いより明確化しました。

ご紹介してきましたように、IT業界は多重下請けの業界です。そのため、下請けの下のレイヤーほど低賃金で多くの業務をこなさなければなりません。また、多くの企業はIT部門を準委任契約の一種のSES契約でシステムエンジニアを常駐させ業務を代行させているケースもあります。この場合も、SES契約側は正規社員に劣った待遇で長時間労働を強いられることもあります。

しかし、今後は同一労働同一賃金が浸透することにより派遣やSES契約等形式でも同等の業務、同等の責任をこなしていれば同等の賃金が得られるようになります。システムエンジニアは企業に属さなくても派遣やフリーランスなどでも同等の待遇で働けるようになるため、個人にとっては選択肢が広がるでしょう。

その一方で、企業にとっては人件費が増えるといったデメリットもあります。そのため、今まで派遣システムエンジニアを活用していた企業がコスト削減などを検討し、自社開発に切り替えるといったことや各プロジェクトに対しての人員を削減するといった可能性もあり、プロジェクトに携わっている人の負担が増加する可能性もあります。

今後働き方改革が進むことにより、IT業界ではエンジニアにとってより個人個人のライフスタイルが実現しやすくなっていくと考えられます。しかし、その一方で企業側にとってのデメリットも存在するため個人に対する負担が増加する可能性も秘めています。今後IT業界は大きく変わっていくと思われます。

現在の働き方をしっかり見極めた上で、転職も含めて個人のライフスタイルの実現ができる最も良い方法を考えてみてはいかがでしょうか。

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