浸透したテレワークとITエンジニアの働き方との相性とは?

2020年から続く新型コロナウイルスの猛威のリスクも終わりが見えず皆さんも疲弊されているかと思います。

当初は時差通勤やテレワーク(リモートワーク)を導入する企業が急増しましたが、現在では第7波が落ち着いたタイミングで出社型に戻した企業が増えたり、ハイブリッドワークやフルリモートワークに舵をとる企業も多くでてきています。

テレワーク自体は2011年の東日本震災時にも多くの企業で適用されましたので、すでに働き方の1つとして浸透しているかと思います。


総務省の令和3年情報通信白書によると、日本企業におけるテレワークの導入率は2020年の1回目の緊急事態宣言時では56.4%、2021年の2回目の非常事態宣言時には38.4%と急上昇したことがわかります。

参考:総務省「令和3年 情報通信白書」

コロナ禍以前はテレワークが導入しやすい職種は営業職でした。外出先からそのままカフェや自宅でメールチェックをするという日常的な仕事のスタイルが定着しているからでしょう。

現在ではテレワークが最も導入されているのはIT業界であることは間違いないでしょう。国土交通省の令和3年度テレワーク人口実態調査では、情報通信業のテレワーカーの割合が70%前後と突出して高いのです。

参考:国土交通省「令和3年度 テレワーク人口実態調査 」

1.テレワークとは?

まずテレワークを正確に確認しましょう。tere=離れた場所 work=働く を合わせた造語で、【ICT(情報通信技術)を利用し、時間を有効に活用できる柔軟な働き方】と総務省のホームページで定義しております。テレワークはメインのオフィスではなく、サテライトオフィスでの勤務や外出先で働くこと(モバイルワーク)や、フリーランスのスタッフが業務を離れた場所で仕事する場合(自営型)なども含めており、リモートワークは場所等の制限はかかっていません。

テレワークとリモートワークはほぼ同義で使われていることが多いようですが、 最近派生した言葉にもかかわらずリモートワークの方がIT業界での主流になっているようです。

これまでは営業職を中心に拡大されてきたテレワークですが、一方でインターネット環境の充実によって左記の富士通やマイクロソフトなどのIT業界、特にシステム開発系のエンジニアについてもテレワークの導入が進んでいます。

そこで今後の開発系エンジニアの働き方はどうなっていくか、テレワーク(リモートワーク)について掘り下げつつ昨今の社会世情を踏まえて考えてみたいと思います。

2.テレワークのメリットとデメリット

〇メリット

長時間の通勤移動から解放され、時間を有効活用できます。通勤ラッシュのストレスもなくなります。企業側も交通費の削減につながります
・通勤からの開放により距離・場所の制約が大幅に減り、雇用者の居住地の選択肢が広がります。企業側も採用活動における居住地の選択肢が増え、魅力的な人材を探しやすくなります
・家族のサポートをしながら仕事を行うことができるようになり、ワークライフバランスの充実に繋がります
・服装の制限がなくなり、比較的ラフな格好で作業に取り組むことができるようになります

〇デメリット
・簡単な口頭確認などの気軽なコミュニケーションが難しくなります
・業務の進行に問題が発生した場合、相談先の確保や複数名を絡めた打合せなどの対応に時間がかかります
・カフェ等の外出先で作業する場合、会話内容への聞き耳や画面の覗き込み、パブリックWifi利用などで物理的・ネットワーク的なセキュリティが下がります

上記に記載したような潜在的なデメリットについては、既にテレワークを導入している企業で問題点として明確になっている事例があるようです。

3.テレワークに向いている仕事、向かない仕事

テレワークは営業職で推進されてきたように、以下のような自由度の高い職種に向いていると言えます。

  • 個人の作業で完結させやすい
  • 仕事の担当範囲を分割しやすい

一方で向いていない職種は、いくつかの理由から自由度が低い制限のある職種になります。

  • コミュニケーションを重視する業務
  • 業務ができる場所が特定されている業務
  • 外部アクセスの許可を出すのが困難な情報の取り扱いが必要な業務

では、システム開発を行うエンジニアの職種はどうかと考えてみると、自由度の高さと制限事項の両方の特徴をもっているといえます。開発の作業そのものは概ね個人に割り当てられるため自由度が高い一方で、作業進捗の確認や仕様検討などのチームで協力する作業については対応が難しいことが多くなります。また、顧客の機密情報を扱う様なシステム開発を行う場合には高いセキュリティが必要となり、リモート開発の許可が出ないケースも考えられます。

4.テレワークに向いているエンジニア業務

Cisco WebexやZOOMは、Web会議クラウドサービスとして広く知られています。これらの仕組みによって、簡単なミーティングは資料を共有した上で実施することが可能です。一方で、重要な進捗確認会議や課題検討をするミーティングについては、対面で討議しながら進めることを望まれるケースが多く残っています。そのため、エンジニア業務の中でもテレワークに向いている業務と向いていない業務があります。

〇テレワークに向いているエンジニア業務
・Webエンジニア業務:Webエンジニア業務はクラウドサービスを介したWeb環境を使った業務が実現可能であり、自分のPCだけで作業が可能です。また、納品型の成果主義が成り立ちやすいことも在宅に向いている理由です。
・ソフトウエア開発業務:ソフトウェアエンジニアもWebエンジニア同様にクラウドサービスを介したWeb環境での開発作業が可能になってきたこと、Webエンジニアと同様に、納品型の成果主義が成り立ちやすいことです。

セキュリティ面を含めると、現時点で完全に在宅で行えるエンジニア業務は限定的になってしまうことはやむを得ないでしょう。今後の技術やサービスの発展、働き方や評価等の根本的な変化により幅広いエンジニア業務でテレワークが適用できるかもしれません。

5.見つかっている問題点

既に運用を開始している企業では、制度面・環境面・心理面などで問題点が見つかっています。

〇制度面
・稼働時間に基づく給与体系の場合、自宅での稼働に関する定義が必要になる
・時間管理から成果物管理へ切り替えるなど、評価制度の見直しが必要

〇環境面
・BYODを許可した場合、カフェや自宅のWifiなどの個人所有物利用によるセキュリティ面の不安がでる
・自宅の機器の利用、光熱費や通信費に対して、どの様に会社が負担するのか制度が必要になる

〇心理面
・仕事とプライベートの切り分け・切り替えが困難になる
・単独作業は集中できるメリットになるケースが多いが、孤独感に不安を感じてしまう人もいる

エンジニアの業務であっても環境面、心理面での問題点は対応施策を用意することは可能ですが、制度面では評価制度を簡単に成果物管理に切替えることは難しいかと思われます。それであれば、社員ではなくフリーのエンジニアと業務受託する方が成果管理をしやすいと考える方がいるかもしれません。
そこで、テレワークを志望するエンジニアにとって、フリーのエンジニアになることはメリットとなるのか見ていきましょう。

6.フリーランスがテレワークを希望することは可能か?

フリーランスエンジニアに対する仕事の依頼は副業を主としたクラウドソーシングサイトやフリーランス専門の案件マッチングサイトや業務委託募集サイトが一般的です。以前と違い、これらの案件情報などを見るとフルリモート、リモートワーク中心といった案件が急増しているのがわかります。

コロナ禍の影響もあり、働き方を見直すエンジニアが増え、企業に社員として雇用されるのではなく個人事業主として自己のスキルや経験で仕事を取得し、対応していくという働き方を選択する人が急増しているのです。

以前はSES案件ではクライアント企業へ常駐することが大半だったのと、企業に属していないフリーランスは特別なスキルがない限り敬遠されていたのですが、すでにSES案件だったとしてもフリーランスが参画可能であったり、リモートワーク中心の契約であったり、フルリモート勤務可能なプロジェクトも増えています。

背景にはIT人材の深刻な人材不足により企業がエンジニアの採用が困難になってきていること、エンジニアが独立してフリーランスを選択する人が増えたことが考えられます。

すでにIT業界では、テレワークは働き方の1つとして浸透しており、フリーランスのエンジニアの働き方としてもテレワークを選択することが可能になっています。フリーランスがテレワークで参画するスタイルは定着してきていますので、今後はさらにフリーランスが働きやすい環境が整っていくものと思われます。

しかし、フリーランスを安易に選択するのはお勧めできません。フリーランスのエンジニアは個人事業主となりますので、委託する企業との条件交渉や自身の収入に対する税申告などの営業・事務的な作業は自分で対応しなければなりません。また、インボイス制度の施行が迫っていて消費税の納付をしなくてはならなくなると負担が増えます。

フリーランスはプログラミングといった技術以外にも対応しないことが多いため、事前に入念な検討をしておきましょう。

まとめ

今回はテレワークが昨今の社会事情を反映して増えてきていること、そのメリット・デメリットをお伝えしました。これまでは営業職への適用が多かったのですが、システム開発のエンジニアに対してもテレワークも導入が可能か、という視点ではまだ一部の業務に限った実施であることをお伝えしました。

現状は制度面・環境面・心理面での課題があり、開発現場でのテレワークの導入は限定的になるかもしれません。しかしながら、今後エンジニアに対して働き方改革の一環としてテレワークの導入は進んでいくと考えて良いでしょう。その際には、エンジニアにはこれまでの働き方とは異なるスキルが必要になることを理解しておきたいところです。

  • テレワークではコミュニケーションの方式が変わるため、メッセージやWeb会議で正しく伝え・理解する力が重要になる
  • 質疑応答が少なくなるよう、自信のスキル向上を図っておく必要がある

本格的なテレワークの導入に備えて、現在の業務を通じてスキル向上に努めていきましょう。

定着する頃にはリモートワークにも慣れていることが理想的ですが、非常事態宣言の出た現状で仕事環境に変化はあったでしょうか?

自宅では集中できないという人もいますので、このタイミングでテレワークに移行することがあったら今までの話を踏まえて自分の向き不向きを見極めておくと良さそうです。

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