デジタル庁の目指す行政のデジタル改革とエンジニア

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新型コロナウィルスの対応などで表面化してきたように、日本の行政のデジタル化の遅れが問題となっています。菅首相は就任直後の会見にて、「デジタル庁を可能な限り早期に設置する」と発表して注目を集めています。
本稿ではデジタル庁の設置に伴い、行政のデジタル化やそれに求めるエンジニアのスキルは何なのかなどをご紹介します。

コロナ禍で露骨に見えてきた行政のデジタル面の弱さ

行政のデジタル化の遅れは以前から言及されていましたが、コロナ禍で行政のデジタル面の弱さが露呈されました。例えば、毎日更新される新規感染者数の集計は各保険所から1感染者につき1枚のFAXが送信され、手作業で集計を行っていました。また、給付金や助成金などもオンライン申請を導入しましたが、各自治体が申請内容を住民基本台帳と照合するのが手作業であったため郵送申請の方が早く、オンライン申請を途中で停止した自治体も多くありました。

また、デジタル化に向けた一歩でもある国民IDの一つであるマイナンバーカードもまだ普及率は20%弱と低い状態です。取得しても得られるサービスの魅力が低く、マイナポイントなどポイントサービスを活用することで普及を図っている状況です。

海外の状況としては、アメリカでは個人ナンバーを確定していると様々なサービスを受けられますし、スウェーデンでは子供が生まれたタイミングで個人番号が普及され児童手当などが申請なく自動的に支給されます。また、世界で最も進んでいる電子政府国家とも呼ばれているエストニアでは結婚・離婚・不動産以外の行政サービスの99%以上が24時間365日オンラインで申請できます。
このように、海外と比べても日本の行政のデジタル化はまだまだの状況です。

デジタル庁とは?

まだ正確に規定されていませんが、デジタル庁とは報道などの話では「日本の行政機関のデジタルトランスフォーメーションを進めるため省庁をまたいだ改革を行うための組織」と言われています。

デジタルトランスフォーメーション(DXとも略されます)とは、経済産業省が規定されたガイドラインでは、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して顧客や社会のニーズを基に製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義されています。つまりは部分的にデジタル化するのではなく、デジタルを軸にプロセスやシステムを変革させる事です。

橋本首相時代から政府のIT化は進められていましたが、各省庁でばらばらで行っていた部分もありました。このようにバラバラで行っていた内容を統合し、推し進めるのがデジタル庁です。

デジタル庁の改革について考えられる課題

デジタル庁の改革は2022年までの開設を目指して急ピッチで進められていますが、デジタル庁の改革に向けた課題があるのも事実です。

1つは、デジタル庁は省庁をまたぐ組織といわれており、省庁横断的に予算を集めて進める予定です。しかし、従来各省庁がそれぞれバラバラで担当していた内容を統合するにあたり、各省庁による反発や抵抗がある可能性があります。また、地方組織も含めてシステムの統一が可能であればよいのですが、地方自治体からの理解を得られるのかもわかりません。

2つ目は、マイナンバーカード以前の2003年から住民基本台帳をシステムとして管理する住基ネットの導入時にもあった、行政に情報が集中することへの抵抗です。住基ネットの内容は氏名・住所・生年月日・性別とその変更情報ですが、これも個人情報の一つです。
憲法でも自己に関する情報をコントロールする権利を定められており、住基ネットでも(その後高裁で覆されましたが)裁判で違憲判決が出るなど判断が難しい問題になっています。デジタル化する上では必要なことですが、行政への情報の集中が考えられる中で国民の抵抗の可能性もあります。

しかし、今後の少子化や労働人口の減少を考えると、システム運用などの効率化が必須であるため、このような課題との調整が重要となってきます。

DXに携わるエンジニアに求められるスキル

デジタル庁を始めとした各企業でもDXが求められている中で、エンジニアの役割も大きくなってきています。DX時代に求められるエンジニアのスキルとはどのようなものでしょうか。
エンジニアは従来の技術に加え、新たなスキルを学ぶことが必要となってくるでしょう。特に重要になってくる技術やスキルは経済産業省のDXレポートに出てくるものとして、クラウド、AI・データ分析・アジャイル開発、マイクロサービスなどがあります。新しい技術の取得を考えているようでしたら、DXの流れを先読みしながら今後の需要に応えられるよう対策となるものを狙うと良いでしょう。

行政システムのDXが欠かせない中で、今後ITエンジニアの需要は増加していくものと見られます。実際に平井デジタル相はデジタル庁をバーチャル組織にし、エンジニアはリモートワークにして優秀な層を集めるという話もしており、新たな業務に関われるチャンスになります。

マイナンバーは業務改善や効率化などが見込める中で、縦割り行政や個人情報の集約に対しての抵抗があり導入が進んでいません。このように国全体での大きな改善には多岐にわたる配慮が必要となり、実現まで多くの時間がかかる可能性があります。
システム開発に関わるエンジニアには多くのスキルが求められますが、リリースされた後には大きな達成感も味わえる可能性があります。大きく注目されているデジタルトランスフォーメーションに携わるためにも、自身のスキルで活かせるものを探したり新しい技術を取得したりしてみてはいかがでしょうか。

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