エンジニアとして転職を成功させられるかどうかは、「自分の希望やスキルを詳細に棚卸すること」と、「企業情報をホームページやWebメディアで念入りに情報収集すること」が欠かせません。
そのうえでご自身の市場価値も正しく把握しておくと、自分に合った企業に、希望する条件での転職が叶いやすくなります。 ここでは転職で失敗してしまったエンジニアの事例とあわせ、成功させるためのポイントをわかりやすく解説します。皆さんの転職をより有意義にスムーズに、希望にあった形で実現するのに役立つ情報ですので、ぜひお目通しください。
Contents
エンジニア転職でよくある失敗例
エンジニアの転職で多い失敗事例、どのようなケースがあるのか見ていきましょう。
未経験歓迎だったが実際はスキルが必要
「未経験歓迎」としている求人はハードルが低く感じられ、応募すると内定までとんとん拍子に進むことも多いものです。こうした求人を掲げる企業の一部には、「とにかく基礎だけ研修して現場に出せばよい」といった、悪くいってしまえば杜撰な進行を当たり前とする企業もあります。
「しっかり研修をしてもらえる」という意味での「未経験歓迎」と思って入社すると、そのギャップに戸惑い、現場で業務についていけず思い詰めてしまうケースもあることを知っておきましょう。
入社後の研修がハードでついていけない
内定にたどり着くため、実際以上のスキル・経験を伝えてしまう場合にも起こりがちなのが、「入社後の研修についていけない」という問題です。企業としては「一定水準以上の実力・知識があること」を前提に内定を出している場合、それ以上のエンジニアとして成長するための研修を行います。
当然、それ以前の知識が不足していると、「掛け算を知らないのに、三角形の面積を出題された」ような状況になってしまいます。
思っていた業務内容とギャップがある
これは、あなたの想定と、企業の想定にギャップがある場合もありますが、企業分析を入念にしておくことで回避しやすい問題でもあります。また、中には「設計書を見てプログラムコードを組めばよい」といわれていたのに、「現場に出たら、詳細設計以降が自分の作業だった」というケースもあるでしょう。
転職先を検討する際には、企業分析を入念に行いつつ、実際にそこで働く(働いていた)エンジニアから寄せられる口コミ・情報も入念にチェックしておくと避けやすくなります。
想定外のクライアント先常駐
社内SEとして働くつもりで入社したが、実際にはSESが主体の企業であったというケースもあるようです。また、企業運営上致し方ない方針転換が行われる場合もあるでしょう。
ただし、エンジニアとして働いてきた経験でお伝えさせていただくと、特に初心者から中級者は、社内エンジニアとしてだけ働くよりも、さまざまな現場での経験は大きな価値があります。現場ごとに管理の仕方も、開発の進め方も異なりますが、そういった経験を積むことで柔軟な対応が可能になるためです。今後転職など踏まえたときにも、有利になるのは間違いありません。
スキルが足りない、見誤った
企業とのすり合わせがうまくいかない場合でも起こってしまうのが、「スキルが不足しついていけない」という失敗事例です。
面接時などには、認識に相違がないよう、自分の伝えたことが明確に伝わっているか確認もしておくことをおすすめします。最悪なケースとして、会話すら成り立たずプロジェクトから離脱せざるを得ない状況に追い込まれてしまうこともあります。
社風があわなかった
社風を理解するには、企業理念や、代表挨拶部分をしっかりと事前に調査したうえで、企業分析する必要があります。これをしておかないと、「入社してみたら、業務進行のスピード感についていけない、結論ばかり求められて辛い」といったことが起こりえます。
特にベンチャーやスタートアップなどで起こりがちですから、しっかり確認しておきましょう。
残業時間が想定よりも非常に多い
残業時間が多いのは、エンジニアとして割り振られる業務に対してまだそのレベルに達せていないから、という場合もあります。ですが、「効率よく動ける人材しかいらない」ということで、一般的な企業よりも業務量が多く、作業スピードが見合わないケースもあるようです。
QOLを意識する働き手が増えた今、残業が当たり前という風潮はかなり薄れたものの、海外のホワイトカラーを取り入れる企業も増えています。業務と自身のスキルが見合う場合は問題ないことが多いため、外から見ると企業として問題ないと判断できるケースも多いため、働き方に関して事前に入念な確認もしておくようにしてください。
給与が上がらない、評価基準が不明瞭
今は評価基準が不明瞭という企業も減ってきている印象はあるものの、働き手からみて「不明瞭」と感じるケースも0ではないでしょう。年功序列は古い、ということから毎年目標をたて、達成率や貢献度に応じた昇給制度を取り入れる企業も増えています。
昇給を目指すうえで、ご自身にとってそうした企業があっているのか、そうした働き方をしたいかということも考えておくとよいでしょう。
もちろん、評価基準が確実に不明瞭、というケースは内定をいただいても辞退しておくのが懸命です。
エンジニア転職で失敗する原因
エンジニアが転職で失敗してしまう原因も見ていきましょう。
企業に対するリサーチ欠如
失敗事例をみていただくとわかるように、企業に不足がある場合のほかは、企業リサーチが不足しているため、転職に失敗したと感じざるを得ないケースも多いのも実情です。回避するには気になるポイントを残さないよう、入念なチェックが欠かせません。
業界や職種への理解不足
エンジニア未経験の方は、業界ならではの事情に疎いのは致し方ないところではあります。ですが、入社してしまってから困るのはご自身です。どういった職種・業界で、どのような働き方をし、どんな業務をこなすことが求められるのか、事前に確認しておきましょう。
スキルを客観的に把握できていない
ご自身のスキルはどうなのか、客観的な目線で棚卸しせずに転職活動をスタートすると、面談時の受け答えもしどろもどろ、という可能性もあります。ただ一番避けたいのは、しどろもどろを避けるため、うまく話をあわせてしまうこと。知っている単語を繋げてみたら、会話が弾む、という状況でいただいた内定では結果的に辛い思いをするだけです。
何がどのくらいできているのか、そのスキルは転職希望している企業にとってどのようなメリットがあるか、自分にあった企業に入社を決めるためにも具体的にスキルを棚卸しすることをおすすめします。
入社後の研修・OJTへの過度な期待
未経験OKの求人で応募する方に多いのが、「入社後の研修やOJTでしっかり仕込んでもらえるだろう」と、根拠なく期待してしまう失敗です。このため何が起こるかというと、スキルがマッチしない案件に参画することで、業務進行すら阻んでしまう、その結果精神的にも追い込まれるということもあり得ます。
未経験OKの場合、「入社が決まれば独学なりしてスキル向上するのが当たり前」と考える企業もあることを知っておきましょう。
エンジニアへの漠然とした憧れ
エンジニアに憧れて転職する方もいらっしゃるでしょう。もしかすると、忙しくてもスマートに立ち回る人があふれているようなイメージをもたれる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが実際、数々の現場を見てきましたが、どちらかというと泥臭いことが大半です。スマートに社会が回る仕組みを提供するため、スマートとは言えない状況で立ち回ることも多いことをお伝えしておきます。
イメージや雰囲気のみで転職先を選ぶ
企業のホームページには、素敵なオフィス空間・エントランスの写真が掲載されています。そこから受けるイメージに飲まれて応募してしまうのは避けましょう。
重要なのは、その中で働く人々と取り巻く環境や、従業員に対する企業としての思い、また企業として顧客にどのような価値を提供するかという理念です。
エンジニア転職を成功させる準備
エンジニアとして転職を成功させるための、8つのポイントをお伝えします。
自己分析
自己分析は、ご自身の働き方に関する考え方や、今後見据えるキャリアプランを明確に持つことと合わせ、今もっているスキルを棚卸し「自分を把握する」ことです。
ここをおろそかにしてしまうと、先にお伝えしたような失敗事例に繋がってしまうため、転職を前にじっくり検討するようにしてください。
キャリアプランの明確化
今後どのような自分(エンジニアとして)になりたいか、を明確に持っておきましょう。そうすると「今これができて、これができていない。では、足りない部分を経験できる企業にいこう」と目指すべき道筋がはっきりとします。
業界や企業の情報収集
自分の目指すキャリアプランの実現が可能な企業を見つけたら、どのような企業なのか、またその企業の提供する業務の先にある業界はどのようなものか情報収集しておきましょう。
企業理念や代表の考え、エンドユーザーに掲げる目標などとあわせ、働いている人・働いていた人から寄せられる口コミもチェック必須です。
面接や書類の対策
ここだと思える企業を絞り込めたら、自己分析で明確になった自分の強みとなる部分と、その企業が求める人材像でリンクする部分を探し、応募書類や面接の準備をしておきましょう。
雇うとどのようなメリットがあるのか、根拠を説明できるよう準備しておくと、面接時の受け答えでも印象をよくできます。
スキルや知識を身につける
面接や応募の対策にもなりますが、希望する企業で働くうえで、足りないスキルやあったら良いと思われるスキルを習得する努力もしておきましょう。
先にお伝えしたように、必ずしも研修・OJTで懇切丁寧に学ぶ機会があるとは限りません。特に近年では「自分で学ぶ姿勢の有無」も重視されていることを意識して行動すると良いでしょう。
スキルをアピールできる実績
ポートフォリオを提示できる場合はスムーズに行いやすいですが、そうではない場合、どのような実績があるのかスキルをアピールする材料も探しておくと、応募・面談で有利に働きます。
業務内容や働き方の確認
企業としてどのような働き化を求めているのか、どのような業務を行っているのかは応募前に確認しましょう。あわせて、不足する部分があれば、面談や内定の際に確認しておくことも、あわない企業に入社するのを避けるうえで欠かせません。
入社後の研修内容の確認
内定がでたら、どのような研修・OJTが受けられるのかはっきり確認しておきましょう。ミスマッチを防ぐために重要なポイントです。
未経験からのエンジニア転職で注意すべきこと
他業種からエンジニアに転職する場合は、以下の3つの点に注意してください。
研修に期待しすぎずスキルは磨いておく
未経験だから何も知らなくても大丈夫、ということはありません。研修だけに頼らず、事前に学んでおけば、研修が始まっても理解がスムーズです。独学前提の募集もあることもお伝えした通りです。
はじめは単純な作業ばかりのことも多い
エンジニアとして最初のうちは、つまらなくも感じる単純作業も多いです。例えば数の多いプログラム群の中から、対象の処理の同じ簡単な修正を行い似たようなテストを行う、ということが続くことも多くあることもお伝えしておきます。
特に大規模プロジェクトではこうした傾向も強いですが、同じように思えても、繰り返しで着実にスキルアップできます。基礎を知らずに応用するのは難しいため、勉強と思って乗り越えていきましょう。
客先常駐の働き方になる可能性も高い
請負開発・社内開発だけという企業もそう多くはありません。またIT業界景気によっても、これまでなかった客先常駐が始まることも往々にしてあります。
転職エージェントをうまく活用する
転職でミスマッチな企業に入社してしまうことを避けるには、転職エージェントを活用することもおすすめです。
数多くの求人を抱えているだけでなく、業界はもちろん、紹介してくれる企業の内情にも精通しているため、「どのような雰囲気の職場なのか」「どんな人物が好まれるから、こういった受け答えができるとよい」など、知っておきたい情報を教えてもらえるのが最大のメリットです。
また、非公開の求人を独自に抱えているエージェント企業もあるため、より条件の良い企業に転職できる可能性もUPします。
エンジニア転職を失敗させないためにも準備は念入りに
ここまでお伝えしてきたように、自分について明確に把握しておくこと、企業について念入りに情報収集しておくことは、転職を成功させるのに必要不可欠です。
入社したものの自分にあわず、短期間で退社してしまう…となれば、履歴書・職務経歴書にも悪いい印象をもたれてしまいます。こちらでお伝えしたポイントを踏まえ、理想的な転職活動を進めていただければ幸いです。
その際、転職エージェントは無料相談を行っていることも多いため、「自分のスキルの棚卸しから付き合ってほしい」、「自分にあうのはどういう企業なのかわからない」という場合も相談してみることをおすすめします。