
エンジニアの仕事は「残業が当たり前」と思われがちですが、実際の労働時間はどれくらいなのでしょうか?
働き方改革の影響もあり残業時間が減少傾向にある一方、長時間労働を強いられる環境も依然として存在します。
本記事では、エンジニアの平均残業時間や残業が発生する理由を解説し、残業時間を削減するための具体的な対策も紹介します。より良い働き方を実現するため、ぜひ最後までご覧ください。
Contents
プログラマーやエンジニアは残業が多い?
エンジニアの仕事は専門性が高く、納期やプロジェクトの進行状況によって労働時間が変動しやすい職種です。
そのため「エンジニアは残業が多い」と思われがちですが、実際の残業時間はどのくらいなのでしょうか?また、近年の働き方改革による影響はあるのでしょうか?ここでは、エンジニアの平均残業時間や、残業の実態について詳しく見ていきます。
エンジニアの平均残業時間
Dodaが2024年に行った調査によると、エンジニアの残業時間は以下のようになっています。
- WEBエンジニア:平均17.4時間/月
- IT通信系エンジニア:平均21.2時間/月
職種によって残業時間に差はあるものの、一般的なサラリーマンの平均残業時間(約20時間前後)と比べると、エンジニアの残業時間はそれほど極端に多いわけではありません。
近年は残業が減っている?
エンジニア業界では、働き方改革やリモートワークの普及によって、残業時間が減少している傾向があります。Dodaの過去の調査ではWEBエンジニアの残業時間は25時間でしたが、2024年の調査では17.4時間に減少しています。
しかし、全てのエンジニアが残業時間の短縮を実感しているわけではありません。
パーソル総合研究所の調査では、45時間以上の残業をしているエンジニアが30%近くいるとのデータもあり、企業や環境によって残業時間には大きな差があることがわかります。
プログラマーやエンジニアの残業が多くなる理由3つ
エンジニアの残業が発生しやすいのには、業界特有の事情が関係しています。ここでは、特に残業の主な要因となる3つの理由を解説します。
突発的なトラブルや仕様変更の対応
エンジニアの仕事では、想定外のトラブルや仕様変更が発生することが少なくありません。
- 稼働中システム・サービスでトラブル発生 → 迅速な対応が必要で業務時間外でも対応するケースあり
- 開発中プロジェクトでクライアントの要望・仕様変更 → 納期は変わらずその分の作業を残業で補わざるを得ないケースあり
このような要因から、プロジェクトの進行が予定通りに進まないことが多く、結果として残業が発生しやすくなります。
人材が不足している
日本のIT業界では慢性的な人材不足が続いており、エンジニア一人あたりの業務量が多くなりがちです。
- DX白書2023によると日本企業約8〜9割が「IT人材が不足している」と回答
- 経済産業省の試算で2030年には最大79万人のIT人材が不足すると予測されている
業界全体でエンジニアの供給が追いついていないため、限られた人数でプロジェクトを回さなければならず、結果として長時間労働につながるケースが増えています。
二次請け、三次請けで案件を受けている
IT業界では、プロジェクトを受託した元請け企業が、二次請け・三次請け企業へ開発を発注する構造が一般的です。この構造がエンジニアの残業を増やす要因となっています。
- 元請けのスケジュールを確保のため下請け企業に厳しい納期を設定するケースあり
- 無理な納期でも対応せざるを得ない下請け企業もあり長時間労働にやすい
特に、SES(システムエンジニアリングサービス)企業や開発の下流工程を担当する企業では、このような状況が頻繁に発生し、残業が常態化してしまうケースもあります。
プログラマーやエンジニアが残業を減らす方法
エンジニアの仕事は納期や仕様変更などの影響を受けやすく、残業が発生しがちです。
しかし、業務の進め方を工夫することで、長時間労働を抑えることも可能です。ここでは、残業を減らすための具体的な方法を紹介します。
業務の効率化をする
業務の優先順位を明確にし、タスク管理ツールを活用することで作業の無駄を削減できます。
業務を分散化する
ルーティン業務のマニュアル化やチーム内での作業分担を見直し、負担を軽減するのも有効策です。併せてチーム全体での作業の見える化を徹底し、業務の偏りや、一人当たりの業務が多くならないよう、見直すことも重要でしょう。
無理な納期を飲まない
クライアントと密にコミュニケーションを取り、現実的なスケジュールを設定することは重要です。タイトすぎるスケジュールでは思わぬトラブルで納期遅延を招く可能性も高くなりますから、事前にしっかりとコミュニケーションを図り調整しましょう。
残業を減らすことが難しい場合
業務の効率化やタスクの分散化を試みても、職場環境やプロジェクトの都合上、残業を完全になくすのは難しいケースもあります。特に、企業文化や業界全体の働き方に影響される場合は、個人の努力だけでは限界があることも少なくありません。
そうした場合には、キャリアの方向性を見直し、より働きやすい環境を探ることも選択肢の一つとなります。ここでは、転職を視野に入れた具体的な方法を紹介します。
転職のプロに相談する
転職エージェントを活用すると、自分のスキルや希望条件に合った企業を紹介してもらえます。特に、エンジニア向けの専門エージェントであれば、労働環境や残業時間の実態についても詳しく把握しているため、希望に合った職場を見つけやすくなります。
また、企業の内部事情や面接時のポイントなどのアドバイスも受けられるため、より良い条件で転職を成功させる確率が高まります。
転職エージェントに相談し、自分の希望に合う職場環境を探すのも一つの方法です。
転職サイトに登録をしてみる
転職サイトに登録すると、自分で求人情報を検索し、現在の市場にどのような選択肢があるのかを把握することができます。特に、「残業なし」「フレックスタイム制度あり」「リモートワーク可」といった条件に絞って検索することで、自分の働き方に合った企業を見つけ安くなるでしょう。
また、企業の口コミや評価を確認できるサイトも活用すると、実際の職場環境が事前に理解でき、より納得のいく転職活動を進められます。
残業が少ない企業の見分け方
エンジニアの残業時間は、企業の方針や職場環境によって大きく変わります。無理なく働ける企業を選ぶには、どのようなポイントに注目すればよいのでしょうか?ここでは、残業が少ない企業の特徴を紹介します。
長時間のみなし残業がついていない
企業によっては、まとまった時間分の残業代を給与に含める「みなし残業制」を導入している場合があります。このため一定時間以上働いても追加の残業代が不要となり、結果的に長時間労働につながりやすいという見方も。
求人票や契約内容を確認し、長時間のみなし残業が設定されていない企業を選ぶことが重要です。また給与に長時間のみなし残業代が含まれない企業を選ぶと、労働時間を抑えられる可能性もあります。
生産性を重視している
無駄な会議や非効率な業務フローが多い企業では、残業が常態化しやすい傾向にあります。一方で、生産性を重視する企業は、タスク管理ツールの導入や業務プロセスの見直しに積極的です。
社員の成果を適切に評価し、効率的に働ける環境を整えている企業を選ぶと、残業を減らせる可能性が高まるでしょう。業務の効率化に取り組んでいる企業は、不要な残業を削減する意識が高い傾向にあることもポイントです。
自社開発比率が多い
受託開発の企業では、クライアントの都合により急な仕様変更やタイトな納期が発生しやすく、残業が増える原因となります。
対して、自社開発の企業はスケジュールを社内で管理できるため、納期の調整がしやすく、残業時間を抑えやすい傾向が。受託開発でなく柔軟にスケジュール管理できる自社開発企業を選ぶのもポイントと言えるでしょう。
社員が定時退社する文化がある
定時で帰ることが推奨されている企業もあります。定時に帰ることが当たり前の企業では、残業が発生しにくい環境が整っています。
社員の口コミや企業の評判をチェックし、定時退社が実践されているか確認することが大切です。社内の雰囲気として、定時退を推奨している企業を選ぶと長時間残業を避けやすいでしょう。
プライベートな時間を大切にしている
ワークライフバランスを重視する企業は、過度な残業を強制せず、社員のプライベートの時間を確保できるよう配慮しています。
リモートワークの導入・フレックスタイム制の導入・副業許可など、柔軟な働き方を推奨している企業はその可能性が高いでしょう。企業の福利厚生や働き方の指針を確認し、ワークライフバランスを重視している企業を探すことをおすすめします。
プログラマーやエンジニアの残業は工夫次第で減らせる
働き方の改善や効率化、業務の分散化などに取り組むことによって、残業を減らすことは可能です。加えて、そもそも転職という選択肢を検討することで、より良い職場環境にシフトすることも可能です。大切なのは見極める力を持つことです。
本記事でお伝えした残業を減らすためにできることや、残業が発生しづらい企業又は残業を軽減するための努力をしている企業を見極めて転職を検討し、希望する働き方ができる環境を整えていきましょう!