SES契約と派遣契約の違いや、SESにおける客先常駐と派遣の違いを解説。SESや客先常駐のメリット・デメリットも紹介。働き方を選ぶためのポイントが分かります！
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SES契約と派遣契約の違い
一番の違いは指示系統です。
SESと派遣、どちらも客先に常駐するという勤務体系は似ていますが、働き方には大きな違いがあります。
実際に何が違うのかといわれると、明確に説明できない人も多くいらっしゃるでしょう。
ここでは、SES契約と派遣契約の違いについて、徹底解説します。
SES契約とは
SESはSystem Engineering Service（システム・エンジニアリング・サービス）の略で、エンジニアはIT企業に所属しながら、派遣されたクライアント先でシステム開発や運用などのサービスを提供することです。
クライアント企業には指揮命令権がなく、SES企業側にあるため、クライアント企業は労務管理や作業指示は基本的にはできません。そのため、直接クライアントがエンジニアに指示を出すことは偽装請負とみなされてしまうため、双方に注意が必要です。
基本的にクライアント企業と所属企業の間では、業務委託契約が結ばれます。
また、SESは準委任契約となるため、請負契約のように成果物ではなく、期間契約の満了が条件となります。
派遣契約とは
まず、エンジニアは派遣会社に登録し、派遣会社から紹介された企業で仕事をします。
一般派遣では派遣先となるクライアント企業に指揮命令権がありますが、給与や雇用管理は派遣元が行うという特徴があります。
労働者派遣法に基づき、派遣会社と派遣先企業の間で契約が結ばれるのが一般的です。
派遣契約もSES同様に期間契約の満了が条件となることが多いです。
派遣法改正により派遣は激減した
2015年9月に派遣法が改正され、労働者派遣事業は許可制となり、2018年には特定派遣が廃止されました。
派遣法（労働者派遣法）の改正は、派遣労働者の権利保護や雇用の安定を目的として行われています。
2015年9月から派遣契約の期間は最大3年となり、3年経過後は派遣先企業で直接雇用を行うか、別部長への配置展開を行われなければいけません。
そのため、長期間同一エンジニアを派遣するためにはSES契約が必要となり、派遣が激減しました。
SESにおける客先常駐と派遣
SESでは、客先常駐と派遣の勤務形態があります。
ここでは、それぞれ詳しく解説します。
SESにおける客先常駐とは
SESにおける客先常駐とは、エンジニアがクライアント企業のプロジェクトに参加するために、クライアントのオフィスに常駐勤務すること指します。
常駐先のクライアント企業のルール次第では柔軟な働き方を選択できることもあります。リモートワークは週何日まで、毎日通勤が必要、完全在宅勤務など、クライアント企業により千差万別です。
また、SESの場合は客先常駐が基本といわれます。
客先常駐のメリットについては後述しているので、ぜひ参考にしてください。
SESにおける派遣とは
前述した通り、SESの場合は客先常駐が基本となります。
では、SESにおける派遣とはどのようなものでしょうか。
クライアント企業にエンジニアを派遣する、という言い方がSESにおける派遣です。
「派遣契約」とは、エンジニアがクライアント企業の指示のもとで業務を行う契約形態ですが、SESにおける派遣の場合の指揮命令権はクライアントではなく、SES企業側にあります。
労働者派遣とSES派遣の客先常駐は契約上の意味が異なるため、「派遣」という言葉を使う際は注意が必要です。
前述した派遣契約の派遣とは異なるため、契約形態の話と紛らわしく、注意が必要です。
クライアント企業でもこの点を理解していない場合がありますので、自分がどのような契約で常駐しているのか事前に確認しておく必要があります。
SES契約のメリット・デメリット
では、SES契約にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
ここでは、SES契約のメリットとデメリットについて詳しく解説します。
SESのメリット
SESエンジニアとして従事することのメリットは、「クライアントから直接指示を受けることがない」だけではありません。
SESのメリットは、複数の業界のさまざまなプロジェクトに携われることが挙げられます。
もちろん大手企業に常駐することもあり、大規模プロジェクトへの参画に恵まれるため、エンジニアとしてキャリアを築きやすい点は大きなメリットです。
エンジニアとしてのスキルを磨きたい、さまざまな経験を積みたい人にはスキルアップの機会となります。
また、近年のIT業界はIT人材確保のために案件未経験者でも採用されやすく、転職でエンジニアに挑戦したい人におすすめです。クライアントから直接指示を受けることがなく、自社の人からの指示である点も未経験者には過ごしやすい環境といえます。
SESのデメリット
SESは、クライアント企業の勤務地で期間契約として働くため、働く環境が安定しないというデメリットがあります。エンジニアが単独でクライアントに派遣されることも多く、一人で客先常駐する可能性がある点がデメリットと感じる人もいるでしょう。
また、SESは自分が所属する企業とクライアント間で契約が結ばれることにより仲介手数料が引かれるため、給料が低い傾向があります。
前述した通り、SESの契約形態には委任契約が多く、成果物に対する報酬ではなく時間単位での契約となるため、残業しても年収に大きな影響を与えにくい点も給料が伸びにくい要因の一つです。
給料はスキルに応じて評価されることが多く、給料が上がりにくいというリスクが潜んでいます。
SESにおける客先常駐のメリット・デメリット
SESでは、客先常駐が一般的です。
その客先常駐にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
ここでは、客先常駐のメリットとデメリットを詳しく解説します。
客先常駐のメリット
クライアント先に常駐することで、現場社員とのコミュニケーションが取りやすくなります。
そのため、仕様の確認や問題への対応を迅速に対応できるというメリットが挙げられます。
疑問や課題が発生した時に、自社でメールやWeb会議などで対応するよりもその場で質疑応答が円滑かつ迅速に返ってくるため、作業スピードの向上も期待できるでしょう。クライアント企業の環境で業務を行うため、社外の人と関わる機会が多く、幅広い経験を積むことができます。
他にも、セキュリティの関係で社外に持ち出しできない資料やアクセス制限された機密情報を扱うことが可能です。
当然閲覧するエンジニアにも高いセキュリティ意識が求められますが、仕様書だけでは分からないクライアント先の重要情報を見ることで、システム仕様の精度や成果物作成のスピードを上げることができます。
客先常駐のデメリット
客先常駐のデメリットに、人間関係が難しいという点が挙げられます。
理由として、クライアント先で業務を遂行するためには、その職場の文化や人間関係に適応しなければいけません。
そのため、人間関係の構築が不慣れな人には客先常駐が難しいと感じることがあります。
また、クライアント企業の直接的な指示を受けることはないとはいえ、クライアント先という力関係も働き、思ったことが上手く伝えられず発言権が弱いという特徴があります。そのような環境がストレスに感じる人もいるでしょう。
他にも、常駐先に自社の人間が少人数になることもあるため、気軽に相談できる環境にないことも挙げられます。
SESと派遣、客先常駐と派遣、違いを理解して働き方を選ぼう
SES契約と派遣契約の大きな違いは、指揮命令権の所在にあることがわかりました。
また、SESにおける客先常駐と派遣は、クライアント企業の都合により働く場所や時間が異なります。
大きな企業でプロジェクト経験を積みたい人や大規模プロジェクトでスキルを伸ばしたい人、エンジニアに興味がある未経験者もSES向いているといえるでしょう。SESは基本的には客先常駐となるため、コミュニケーションが得意な人やコミュニケーションスキルを伸ばしたい人にもおすすめです。
これからエンジニアとして生き残っていくためには、派遣やフリーランスではなく、SESで様々なプロジェクトを経験し、スキルアップすることをおすすめします。
まずは、自分がどのような働き方をしたいのか、一度考えた上で自分に合った働き方を選択しましょう。
客先常駐の働き方は、環境によってメリット・デメリットが大きく変わるため、自分の働き方やキャリアプランと照らし合わせて判断することが重要です。
これからITエンジニアとして活躍するのなら、どのようなエンジニアになりたいか目的を見定め、働き方の種類を理解した上で転職活動を進めていただくことを意識しましょう。
